訪問介護の仕事には、生活介護と身体介護があります。生活介護は、介護サービス利用者の自宅を清掃したり、衣類を洗濯したりするほか、食事を作ってあげることです。一方、身体介護は、食事や移動をはじめ入浴や排泄など、利用者の身体に触れる業務を指します。身体介護を行うには、利用者の身体を効率よく支えたり、利用者に負担の無いよう介助する専門的スキルが欠かせません。身体介護は、とてもデリケートな業務なのです。

そこで、原則として身体介護を行う介護職には、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修といった介護の資格が必要です。こうした民間資格は、短期間の研修を受けて介護技術を学ぶことで、比較的簡単に取得できます。民間資格を取って実務経験を積むと、国家資格の介護福祉士の試験を受けることも可能になります。訪問介護の場合、自力で自宅を片付けたり自炊したりすることが難しい要介護者にとって生活介護も重要ですが、要介護度が高い重度の利用者については、移動や食事の介助のような身体介護も不可欠と言えます。

ただし、入浴については、訪問入浴介護サービスという福祉サービスがあるので、この業務に委託する場合が少なくありません。自宅の浴槽に身体の不自由な利用者を入れるのは、体力が必要なだけでなく、転倒などのリスクも負わなければならないからです。訪問入浴介護サービスであれば、訪問車に浴槽が設置されており、看護師も同行して利用者の体調管理をするため、利用者が安心して入浴できるでしょう。